この記事では、チャンクの一つである動詞チャンクについて解説します。
動詞チャンクは英文の述部にあたるチャンクで、アクション(動作)や状態を表します。
英語の動詞チャンクについて、その範囲

動詞の役割をするチャンクを動詞チャンクといいます。
動詞チャンクの範囲は、次のようになって、動詞句だけではなく、目的語や補語までおよびます。
動詞チャンクの範囲:
- 助動詞
- 動詞(単体、複数)
- 影響がおよぶ対象(目的語や補語や前置詞句)
例えば、SVOO文型 だと VOO、SVOC文型だと VOC が動詞チャンクになります。
- (I) would appreciate it.
- (The dish) broke.
- (He) looked happy (this morning).
- (The boy) got injured (in front of the door).
- (私は)歓迎します。
- (その皿は)壊れた。
- (彼は)(今朝)幸せに見える。
- (その少年は)(ドアの前で)怪我をした。
カッコ ”()” で囲まれていない部分が全て動詞チャンクです。
英語動詞チャンクの構造
動詞チャンクは、上に書いたように助動詞、動詞、その対象、の3つからなります。
順番も次のように決まってます。
助動詞 ▶動詞(単体、複数)▶ 対象
助動詞や対象は省略されることもあります。
要素①:助動詞
助動詞については、法助動詞として別の記事で解説しています。
》英文法:法助動詞は「出だし」で微妙なニュアンスを伝える

要素②:一般動詞、連結動詞、句動詞など
「複数の動詞」は、一般動詞や連結動詞、句動詞などからなります。
※動詞の分類の仕方はいろいろあります。ここでは連結動詞と句動詞、それ以外は一般動詞に便宜上、分類して説明しています。
動詞の種類:
- 一般動詞
- 連結動詞
- 句動詞
一般動詞とは ?
《一般動詞》とは、「動作」や「状態」をあらわす普通の動詞のことです。
一般動詞の例:
- 動作:go(行く)・come(来る)・read(読む)など
- 状態:know(知っている)・like(好む)・think(思う)など
連結動詞(Linking Verb)とは?
《連結動詞》とは、主題(subject)を 述部(predicate)と繋げる動詞です。それ自体は状態を表す、 “Action”のない動詞です。
代表的なものは be動詞です。その他にもいろいろあります。
詳細については、こちらで説明しています。
句動詞(Phrasal Verb)とは?
2語以上の単語からなる動詞です。群動詞、phrasal verb とも言います。
句動詞の例:
- I’ll look after my kids. (私は私の子供の世話をしよう)
- He entered into the discussion with enough evidence. (彼は充分な論証を持って、話し合いに入った)
- Turn to the page 15 in your textbook. (テキストの15ページをめくってください)
句動詞は量が多く、ボキャブラリーとしておぼえていくのが良いです。
句動詞を覚えるにはアスク出版の「イラストでわかる!ネイティブの句動詞」がおすすめです。

要素③:対象
名詞チャンク、もしくは形容詞か前置詞句が対象になります。
名詞チャンクのケース
I got to the hotel where we had stayed previously. (以前泊まったホテルに到着した)
上記のオレンジ部分が目的格の名詞チャンクになります。(赤色とオレンジ色が動詞チャンクです)
名詞チャンクについては、次の記事で解説しています。
》チャンクの基本は名詞チャンク
形容詞のケース
I felt sad. (私は悲しく感じた)
おなじくオレンジ部分が形容詞になります。
「形容詞チャンク」という分類はありません。
形容詞は名詞を修飾するので、名詞チャンクの一部となるからです。
《形容詞句》という2つ以上の単語からなる形容詞の役割をもつ句の分類はあります。
チャンクは「意味を持つ」単位で区切るので、《形容詞句》もチャンクの一種と言えます。
ですが名詞を修飾するので、やっぱり名詞チャンクの一部になります。
形容詞の叙述用法や比較については、別の記事に書く予定です。
前置詞句のケース
I stood in front of the door. (私は、そのドアの前に立っていた)
おなじくオレンジ部分が前置詞句になります。
連結動詞の具体例

最後に連結動詞の具体例を説明します。
連結動詞は主語と述部をつなげるものです。述部に成るのは形容詞、不定詞、分詞などです。
連結分詞は分類すると、次の4つになります。
- 「あること、状態」を示す Be動詞
- 「そのまま」維持を意味する動詞
- 「感じる」感知を意味する動詞
- 「変わる・成る」変化を意味する動詞
①「あること、状態」を示す be動詞
be動詞は「そこにある」という存在、もしくは状態を表現しています。イコールではなく、ただ「ある」ことを表現します。
主語の存在を示す be動詞の例を見る
この場合は、普通場所を示す単語もしくはチャンクが続きます。
He was in front of the door. (彼はドアの前にいた)
主語の状態を示す be動詞の例を見る
形容詞や分詞が続きます。主語の状態を説明する形容詞や分詞が続きます。
- I am happy. (私はハッピーです)
- He was playing a guitar. (彼はギターを弾いていた)
- The letter was written by him. (その手紙は彼によって書かれた)
②「そのまま」維持を意味する動詞
そのままの状態を維持する、という意味を持つ動詞です。よく使われるのはbe動詞以外では次の3つになります。
1. keep
2. remain
3. stay
1. keep を使った例を見る
- She kept away from the door. (彼女は、ドアから離れている)
- keep going (そのまま進め)
2. remain を使った例を見る
- He remains seated (彼は座ったままです)
- All other assignments remain the same (他に担当の変更はありません)
3. stay を使った例を見る
- He stayed awake all night (彼は夜通し、起きていた)
- He stayed at home. (彼は家にいた)
③「感じる」感知を意味する動詞
「感じる」「感知する」を意味する動詞です。転じて、「何となく感じる」「雰囲気を感じる」という主観的な表現に使われます。
断言できないこと、遠慮しながら話すときによく使われるため、ビジネス英語では必須です。
1. seem
2. appear
3. look
4. feel
5. smell
6. sound
7. taste
1. seem を使った例を見る
- You seem to be exhausted recently(最近疲れてるようにみえるね)
- This project seems to be going well(このプロジェクトはうまく進んでいるみたいだね)
- It seems like you know everything(君はすべてを知っているようだ)
2. appear を使った例を見る
- It externally appears to be a weapon. (外見は武器のように見える)
- It appears that the typhoon has already calmed down. (台風はすでに弱くなっているようだ)
- He appears to be strong and healthy. (彼は、つよくて健康的に見える)
3. look を使った例を見る
- He looks happy (彼は、上機嫌にみえる)
- He looks young for his age (彼は、彼の年齢にしては若く見える)
- It looks like you know everything. (君はすべてを知っているようだ)
4. feel を使った例を見る
- I feel like I’m getting a cold. (寒くなってきた)
- I feel like no one understands me. (だれも私を理解してないと感じる)
- I feel like playing tennis today. (今日はテニスをしたい)
※ 3. は少し用法が違って、慣用句です。feel like ~ing で「~をしたい」という意味になります。
5. smell を使った例を見る
- It smells awful. (ひどい匂いがする)
- The flower smells good (この花は、いい匂いがする)
6. sound を使った例を見る
- It sounds like you are tired. (だいぶお疲れのようだ)
- It sounds too good to be true.(夢のような話だ)
- It sounds fun. (それはおもしろそうです)
7. taste を使った例を見る
- This ramen tastes good (このラーメンは美味しい)
- This fruit tastes sour.(この果物はすっぱい味がする)
④「変わる・成る」変化を意味する動詞
「変化があった」「結果的になった」という状態を意味します。
be動詞と置き換えて(状態のまま ⇔ 変化)のように対比されることが多いです。
例えば be injured は「けがをした状態」を指し、get injured は「けがをした」という変化・結果を指します。
1. become
2. get
3. come
4. go
5. grow
6. fall
7. turn
1. become を使った例を見る
- He became poor. (彼は貧乏になった)
- It became evident that something was wrong.(何かがおかしいことは明らかだ)
- It became clear to me why my proposal was rejected. (なぜ私の提案が拒否されたのかハッキリ分かった)
2. get を使った例を見る
- She got married. (彼女は結婚した)
- He got upset. (彼は動揺した)
- I got cold.(寒くなった)
3. come を使った例を見る
- Your dream will come true. (君の夢はかなう)
- She came to see me off. (彼女は私を見送りに来てくれた)
- I came to say over at my friend’s house.(友達の家に泊まりに来た)
4. go を使った例を見る
- I went to buy groceries today. (今日は買い出しに言ってきました)
- The company went bankrupt. (その会社は倒産した)
5. grow を使った例を見る
- The plants grow wild by the river (その植物は、川の近くで自生している)
- Victor seemed to grow taller every day. (ヴィクターは、毎日成長しているようだ)
- The sound was growing louder. (その音は、どんどん騒がしくなっていった)
6. fall を使った例を見る
- I cannot fall asleep until 10 p.m. (私は午後10時まで、寝ることができない)
- He fell in love with the property. (彼は、その土地に首ったけになった)
7. turn を使った例を見る
- Then it turned cold and started to rain. (そして寒くなり、雨が降ってきた)
- His face turned pale. (彼の顔色が、青白くなった)
- Their relationship turned sour. (彼らの関係は、悪くなった)
まとめ
動詞の役割をする「動詞チャンク」について解説しました。
チャンクを含め、英会話に必要最小限の英文法について、次の記事でまとめています。

チャンク全般については、次の記事で解説しています。

チャンクの基本、名詞チャンクについては、次の記事で解説しています。

法助動詞については、次の記事で解説しています。

副詞チャンクについては、次の記事で解説しています。
