英語の会話力をアップさせる!チャンク学習について徹底解説

英語を話すときに英文がなかなか完成せず、会話が止まってしまう。

言いたいことが言えない。

文法的に正しい英語を話そうとすると、こういうことがよくあります。

でもネイティブスピーカーは英文法を意識しないで英語を話しています。

そのメカニズムを利用すれば、私達も同じように英語を話せるようになれます。

それはチャンク(英語フレーズ)を意識して英語を聴いたり話したりすることです。

この記事では、自由に言いたいことが話せ、理解できる様になる《チャンク》について紹介します。

この記事の内容:

・チャンクについての説明
・英語をチャンクで扱うメリットについて
・チャンクを使った《読む、書く、聴く、話す》の練習方法

チャンクは、語学の世界ではよく知られています。

単語単位ではなく、フレーズを意識しながら《読む・書く・聴く・話す》を練習していくと、文法に縛られずに言いたいことが話せるようになることがわかっています。
日本人より外国人が使って日本語を習得しているケースをよく見かけます。

「チャンクを使う」ことに慣れれば、日本語を介せずに外国語を話せるようになり、
読み書きや会話のスピードが格段に速くなります。

言い回しもネイティブに近くなり、ネイティブにとって分かりやすい英語になります。

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英語のチャンクとは

あなたはチャンクという言葉を知っていますか?

チャンクとは「一塊(ひとかたまり)」という意味で、主に2語~8語程度の単語でできたフレーズを指します。

たとえば「おはよう」は、Good と morning をくっつけて Good morning です。
このように、2つ以上の単語がくっついて、1つの意味を表すものをチャンクといいます。

いわゆる「決まり文句」、「フレーズ」、「コロケーション」がチャンクです。

チャンクは理解や思考の基本単位

チャンクは母国語にかぎらず、学習者にとっても理解や思考の基本単位になります。
特に学習者にとっては「聴く・話す・読む・書く」の全ての処理の基本単位になります。

ちなみにネイティブスピーカーが使っている英語チャンクは、長くても6~8個くらいの単語からできている短い文(フレーズ)です。

チャンクは大きく分けると、次の3つになります。

それぞれ見ていきます。

①文法的なチャンク

《名詞句》や《名詞節》、《述部》はチャンクになります。

《句》は「主語・述語が含まれていない英文のパーツ」
《節》は「主語・述語が含まれている英文のパーツ」

たとえば

Both Ann and Tom could not take exams.(アンとトムは試験を受けられなかった)

という文は

  • Both Ann and Tom(アンとトム)
  • could not take exams.(試験を受けられなかった)

という主語(主部)となる《名詞句》《述部》となる句の2つから成り立っています。
これらはチャンクです。また次の文、

Both Ann and Tom, who were late, could not take exams. (遅刻したアンとトムは試験を受けられなかった)

では who were late は Both Ann and Tom を修飾するでこれもチャンクです。

②慣用句、決まり文句のチャンク

決まりきった言い回しや、慣用句となった表現を含んだ意味のかたまりもチャンクになります。

たとえば

Can you please
You are welcome.

などの慣用表現もチャンクになります。

③息継ぎによるチャンク

また息継ぎをするところもチャンクになります。

たとえば、次の文はイギリス人が物価の話をしている会話文です。( は息継ぎを示してます)

I think for most things it’s pretty pricey I think accommodation well, certainly buying accommodation – is probably one of the most expensive prices in the world and getting more and more expensive.

イギリス人はこう話す・こう考える」より引用

考えながら話しているので、途中で結構止まっています。
こういう息継ぎや思考が止まっているところもチャンクの区切りになります。

英語のチャンクを意識して練習する6つのメリット

英語のチャンクを意識して練習すると、以下の6つのメリットが得られます。

①文章がスムーズに理解でき、長文が読みやすくする

英語のチャンクを意識することで、文章全体の意味の理解がよりスムーズになります。
チャンクごとにまとめて理解するようになり、英語の文章の構造や意味がより明確になります。

英語の長文は、単語を一つずつ理解することが難しい場合があります。
それでも英語のチャンクを意識して読むことで、長文をスムースに理解できるようになります。

※チャンクを使ったリーディングについての記事がありますので、よかったら読んでみてください。
チャンクリーディングを学ぶと、英文を英語のまま読めるようになります

②スピーキングやライティングのスピードが上がる

英語のチャンクを練習することで、スピーキングやライティングのスピードが上がります。

単語ごとではなくチャンク単位で考えるので、よりスムーズかつ自然な表現ができるようになります。

自然な英語の表現が身につき、自信を持ってコミュニケーションができるようになります。

③ 語彙が増える

英語のチャンクを練習することで、一度に複数の単語を覚えることができます。
これにより、語彙力を効率的に増やすことができます。

④リスニング力が向上、耳が慣れて、英語を聞くことが楽しくなる

英語のチャンクを意識することで、リスニング力を向上させることができます。

リスニングでは単語を聞き取るだけでなく、文法的にまとまったチャンクを聞き取ることが必要です。
チャンクを意識してリスニング練習を行うことで、

  • より自然な英語のリズムやイントネーションを理解し、
  • より正確に聞き取る

ことができます。

一つ一つの単語が理解できなくても、チャンクを意識することで意味を理解できるようになります。

次第に耳が慣れ、英語を聞くことが楽しくなります。

⑤ 自然な英語のリズムやイントネーションに沿った発音が可能になる

ネイティブスピーカーが英語を話すとき、単語よりも文法的にまとまった単位で発音される傾向があります。

英語のチャンクを意識して学ぶことで、自然なリズムやイントネーションに沿った発音が身につきます。

⑥ ネイティブスピーカーのような自然な英語が話せるようになる

前述したように、ネイティブスピーカーは単語単位で考えずにチャンク単位で表現する傾向があります。
なので英語のチャンクで練習していると、自然な英語表現が身につきます。

また自然な英語表現が身につくと、ビジネス英語でのコミュニケーションもスムーズになり、効果的なコミュニケーションがとれるようになります。

英語チャンクの長さ問題:どこで区切る?

ところで、どれくらいの長さで「チャンク」に区切っていけばいいのでしょうか?

英文をチャンクに分割するルールはただ一つ、

「それぞれのチャンクが意味を持つこと」

ぞれだけです。

英語チャンクの長さは自由

そのチャンクが意味を持つなら長さは自由です。

たとえばチャンクごとに英文を分割すると、こんな感じになります。

  1. I have a pen =
    I (私)+ have (持つ)+ a pen (一つのペン)
  2. What is the difference between phrases and words =
    what(なに)+ is (ある) + the differences (違い)+ between phrases and words. (フレーズと単語のあいだ)

1 の文は誰がやっても同じになると思いますが、2の文は人によって結果が異なると思います。

例えば、次のような意見が出てくるでしょう。

  • 意見1:what と is は分けずに what is をひとつのチャンクとすべき
  • 意見2:the differences between phrases and words と、これをひとつのチャンクとすべき

どちらも正解です。「意味をもつ言葉の塊(かたまり)」であれば、それはチャンクだからです。

大体の目安として、

  • リーディングやリスニングのとき:自分の理解できる長さ。
  • スピーキングやライティングのとき:自分が覚えているチャンクをそのまま使う。

そういう感じでいいと思います。

チャンクの長さは上達するほど長くなる

長さは自己都合、その時の自分の使いやすい長さにすればいいです。

一般的に、誰でも上達していくとだんだんチャンクが長くなります。
理解できる長さが長くなっていくからです。

そのうち一文全部を英語で理解できるようになってきて、理解のために分割することもなくなります。

英語のチャンクを意識して《読む、書く、聴く、話す》をやってみよう

実際に4つの技能(読む、書く、聴く、話す)をチャンクを使ってやってみましょう。

具体的な方法について解説していきます。

リーディングは、英語チャンクごとに英語の語順で読んでいく

リーディングでは、英語チャンクごとに理解しながら読むようにします。

たとえば、こういう長い文があります。

Apple has unveiled the iPhone 14, with emergency satellite connectivity and car crash detection technology, at a launch event in the US.

(BBC Newsより)

このままだと読むのもつらいです。でも、こういう長い文も、

Apple (アップルは)
has unveiled (公開した)
the iPhone 14, (iPhone14を)
with emergency satellite connectivity (緊急時の衛星接続と)
and car crash detection technology, (車事故の検知のテクノロジーと供に)
at a launch event (発表イベントで)
in the US. (米国での)

のように短く区切れば、意味がわかりやすくなります。

※ チャンクを使ったリーディングについては、次の記事で書いてますので参照ください。
チャンク・リーディングを学ぶと、英文を英語のまま理解できるようになります

リスニングでもチャンクごとに意味をとっていく

リスニングもリーディングと同じで、チャンクごとに意味を取りながら聴く練習をします。
ただ時間的余裕もないので、

聞こえた単語から数語単位で直接意味を取っていきます。

例えば

Thank you は訳さなくてもわかりますよね?

最初はこのような簡単な短い文から始めます。
チャンクごとに理解することに慣れてきたら、ノーマルスピードで練習するようにします。

聞き取れなかったら戻ったり、再生スピードを落としたりする点は今までと同じです。

スピーキングではチャンクを英語の語順で口に出す

今まで覚えた英語のチャンクを使って、瞬間英作文をします。

はじめから一文を作ろうとしてはいけません。

出だしで主語や決まりフレーズを出し、英語のチャンクを付け足していくようにして、話していきます。

詳しくは次の記事に書いてますので、参照してください。
英語のスピーキング:出だしフレーズやチャンクをつなげて文を作る

ライティングもチャンクをつかって

ライティングもスピーキングと同じで、英語のチャンクを使って瞬間英作文をします。
出だしを書き、英語のチャンクを付け足していくだけです。

文法事項を考えながら書くのはやめましょう。

英語のチャンクを付け足していくことで、スムーズに長い文章が書けるようになっていきます。

ライティングについては次の記事に書いています。構成についても書いてますので、参考にしてください。
》英語のライティングスキルが独学で上達する4つの練習と文章の書き方

英語チャンクのおすすめ参考書

最後に「チャンク関連の書籍」を紹介します。

おすすめは以下の3冊(プラス1冊)です。

チャンク英文法

チャンク英文法」は英語のチャンクの第一人者、田中茂範先生と他の方の共著です。

英語のチャンクについて、ほぼすべてが網羅されています。
文章が多く、少しわかりにくいところもありますが、必読の参考書です。

チャンク英文法―文ではなくてチャンクで話せ!もっと自由に英語が使える

これなら話せる★チャンク英会話

これなら話せる★チャンク英会話」も田中茂範先生の本です。英語チャンクの考え方で、日常で使われる慣用表現840を紹介しています。

  • 行為を表す慣用チャンク表現 (提案する・頼む・謝るなど)
  • 感情を表す慣用チャンク表現 (驚き・感動・悲しみなど)
  • 会話をコントロールする表現
  • チャンクを繋いでいく「チャンキング」

チャンキングは、情報を英語チャンクで「付け足し」ていくことです。

これなら話せる★チャンク英会話(CD-ROM付)

クラウン チャンクで英単語 シリーズ

チャンクで英単語」シリーズは、2023年のNHK英語講座で講師を務める、投野 由紀夫先生の著書です。
チャンクを意識しながら、ボキャブラリーを増やしていく本です。

Basic, Standard, Advanced と3種類あり、レベルにあわせた英単語集になっています。

コロケーションや慣用表現、フレーズを理解するのにおすすめです。

三省堂
¥869 (2023/02/25 11:59時点 | Amazon調べ)
編集:投野由紀夫
¥1,100 (2023/02/25 12:00時点 | Amazon調べ)

番外編:発想の英文法―チャンクだから話せる

私がはじめて「チャンク」を知ったのは《発想の英文法―チャンクだから話せる》という本です。

この本でチャンクを知って、だいぶ会話や英文メールが楽になりました。

今でも古本で手に入りますので、よければ手にとってみてください。
発想の英文法―チャンクだから話せる

まとめ:英語チャンクを使えば英語力が飛躍的に伸びる

今回は語学習得の要となる、チャンクについて解説しました。

この記事の内容:

・チャンクについての説明
・英語をチャンクで扱うメリットについて
・チャンクを使った《読む、書く、聴く、話す》の練習方法

英語をチャンクで理解していくと、日本語を使わずに英語を話せるようになります。

直接英語を理解できるようになるので、ぜひやってみてください!

チャンクの基本、名詞チャンクについては次の記事で解説しています。

動詞チャンクについての情報は、次の記事で解説しています。

会話に必要な最小限の英文法については、次の記事で解説してます。

次の記事では、おすすめのオンライン英会話Cambly(キャンブリー)を紹介しています。

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